近況報告

10周年フェスタつばさ 魚河岸さんにお寿司いただきました。

創立10周年 フェスタつばさ開催しました!


「フェスタという名の都市」    生活支援員 大川 武司

実に多くの人が集まった。早朝、フリマに出店する方々が集まり出し、次いで保護者や近隣の方が続く。いつもは静かなつばさが少しずつ別な空間に変わっていく。今年は開設十周年ということもあり、来賓を迎えての式典も催され、例年とは違う厳粛な雰囲気が漂っていた。毎年恒例の職員による太鼓も今年は開設当初からいる職員の顔ぶれが並んだ。また沼津魚がし鮨の職人さんが来て下さって直接目の前で(無料にて!)握っていただくという、にわかには信じがたい企画が盛り込まれ、職人の手で次から次へと握られていく寿司と、あっという間に出来上がった長蛇の列はまさに圧巻の光景であった。またネイルコーナーと似顔絵コーナーという初めての試みは、当初想像していた客足を大幅に上回るものであった。常にお客さんが並び続けるという盛況ぶりで、何と開店からフェスタ終了までの五時間(!)休みなしに続けられた。特に似顔絵コーナーを担当していただいた画家さんは昼食を食べる時間すらなく、主催サイドとしては大いに反省すべき点だ。他にも誘導や交通整理において行き届かない点が多々あったが、何卒ご容赦願いたい。  とはいえ、実り多いフェスタだったというのが正直な感想だ。何よりよかったのは、利用者と職員が一緒になっての演奏会、展示会、カフェ、体験コーナーである。例年はお客さんとして参加していた利用者と職員が、今年はお客さんを迎える立場となって参加できたことは特筆すべき点である。日頃ゾーンで行っている活動を体験できるコーナー、利用者が給仕として活躍するカフェ、手形と足形で作品を制作するコーナー、巨大な射的場などが並び、いずれも利用者と職員による出店である。お客さんとしてフェスタを楽しむのもいいが、フェスタに向けて時間をかけて準備し、自分たちの手でフェスタを作り上げていくのとではやはり大きな差がある。  そもそもフェスタというのはお祭りなのだから、より多くの人が集まったほうがいい。また地域交流の一環としても行われているわけだから、自分たちで外部のお客さんを迎える立場の方が目的に適っている。中でも、日頃の音楽療法の成果を披露したあかねによるステージ演奏は多くの目を惹いた。午後のステージイベントには、英和学院大学の学生による軽快なダンスや、もはやフェスタの顔として定着したアイニケによるアフリカの大地を感じさせる太鼓演奏があり、いずれも大盛り上がりだった。プロの仕事だなぁと見ていて思ったが、そのプロの立つ同じステージであかねの人々が演奏し、会場を盛り上げたことはすばらしいことだと思う。  歴史学者の網野善彦は、都市とは漂泊の民がたまたま交錯してできる場所だとしている。漂泊というと現代ではあまりいいイメージはないかもしれないが、中世では諸国を遍歴する人のことを指し、それは宗教家であったり、職人であったり、また商いをする人だったりする。そしてそのような多種多様な技能を持つ人たちが出会ってできる場所が都市なのだそうだ。
フェスタもまたそのように多様な技能を持つ人々が集まってできあがった都市だといえる。願わくば、十年の節目を迎えたつばさ静岡が、このまま内閉することなく、常に外部に開かれた都市へと発展していってほしいと切に願う。

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